Xの過去投稿を一括削除したくて、既存ツールが動かなくなっていたのを機に、自分で作ることにしました。この記事では、AI(Gemini)と一緒に開発した舞台裏と、完成までの道のりを記録します。
きっかけ:愛用ツールが突然使えなくなった
いつも使っていたX一括削除ツールが、ある日突然動かなくなりました。Xの仕様変更のたびに外部ツールは使えなくなります。
「誰かが新しいツールを公開するのを待つより、自分でメンテできるものを持っておいたほうがいい」——そう思ったのが開発のスタートです。
まずAIに最適解を聞いた
2026年現在、Xの投稿を一括削除する機能を作るにはどうすればいいか。まずGeminiに聞いてみました。
返ってきた答えは「ブラウザで直接動くJavaScript(ブックマークレット)が現時点でもっとも確実」というものでした。
Xの公式APIは有料化・制限強化が続いており、サードパーティアプリとしてOAuth連携する方式はリスクが高い。一方、ブックマークレットはブラウザのコンソールで動くJavaScriptなので、APIキーも外部サーバーも不要です。セキュリティの観点でも、ユーザーのデータを第三者に渡さない設計になります。
要件追加と「取りこぼし」との戦い
スクリプト自体はGeminiがすぐに出してくれました。問題はここからです。
最初のコードは「とにかく投稿を削除する」だけの機能でした。実用的にするために要件を追加していくと、毎回どこかが壊れます。
追加した要件:
- 削除する期間を指定したい(古い投稿だけ消したい)
- 進捗をリアルタイムで確認したいので、右下にパネルを表示したい
- ウィンドウを最小化しても処理が止まらないようにしたい
- レート制限がかかったときに自動で待機してほしい
要件を1つ追加するたびに、さっきまで動いていた別の機能が消える「取りこぼし」が頻発しました。
AIとの上手な付き合い方で学んだこと
この開発を通じて、AIとのコード開発について気づいたことがいくつかあります。
微調整より一括指示が有効
「ここだけ直して」という細かい指示を繰り返すより、要件をまとめて一度に伝えたほうがコードの整合性が保たれます。AIは文脈を保ちながら全体を見直すほうが得意なようです。
定期的に第三者評価を挟む
「今のコードで要件がすべて満たされているか確認して」という評価指示を定期的に入れると、取りこぼしを早期に発見できました。
長いセッションは切り替える
同じチャットルームで長時間開発を続けると、AIの応答がだんだんおかしくなります。適切なタイミングで新しいチャットを始めて、コードと要件を渡し直すと品質が戻りました。
完成したツールの特徴
何回もの修正を経て、実用的なツールが完成しました。
期間指定削除 開始日と終了日をカレンダーで指定できます。「2024年以前の投稿だけ消したい」「就活を始めた時期以降の投稿は残したい」といったニーズに対応できます。
バックグラウンド動作 実行中のタブを新しいウィンドウとして切り離して最小化すると、削除処理がバックグラウンドで継続されます。YouTubeを見ながら、寝ながら、数千件の削除が自動で進みます。
レート制限への自動対応 Xのサーバーが「リクエストが多すぎる」と判断した場合、ツールが自動で10秒待機してから再開します。手動で様子を見る必要がありません。
アカウント連携不要 ブックマークレット方式なので、OAuthでアカウントへのアクセス権を渡す必要がありません。ブラウザとXのサーバーの間だけで処理が完結するため、パスワードやトークンが外部に漏れる仕組みがありません。
Cloudflare Pagesで公開
ツールの公開先としてCloudflare Pagesを選びました。理由は無料で使えること、独自ドメインを設定できること、そして静的サイトのホスティングが非常にシンプルであることです。
公開手順はざっくり言うと、Cloudflareにアカウントを作り、Workers & PagesからPagesを選んで、ビルドしたフォルダをアップロードするだけです。サーバーの知識がなくてもデプロイできます。
ブックマーク削除機能も追加
公開後、「ブックマークも一括削除したい」という需要があることに気づきました。
Xのブックマークページ(x.com/i/bookmarks)では、各ツイートの<time>タグにdatetime属性でISO形式の日付が入っています。これを使えば投稿削除と同じように期間指定削除が実装できます。
実際にブラウザのコンソールで確認して動作を検証してから実装しました。現在は投稿削除とブックマーク削除の両方が1つのブックマークレットで使える統合版になっています。
まとめ
AIを使った個人開発は、アイデアをすぐ形にできる点で非常に強力です。一方、要件追加のたびに取りこぼしが発生するという課題もリアルに体験しました。
「要件を整理してまとめて渡す」「定期的に全体を評価させる」「セッションを適切に切り替える」——この3つを意識するだけで、AIとの開発品質が大きく変わります。
ツールはこちらで公開しています。投稿整理が必要な方はぜひ使ってみてください。